肩関節周囲炎

肩関節周囲炎

関節周囲炎は、さまざまな要因から肩が痛い、関節が動かしづらいなどの症状が現れる病気で、いわゆる五十肩がその代表的なものです。

特に北海道では冬季の除排雪作業により症状が進んでしまうことが多いです。

また、五十肩と並んで頻度の高い疾患として、腱板断裂が挙げられます。

五十肩とは

肩関節に炎症が起こり、肩関節の痛みと運動障害が現れる状態の総称で、関節の動きが硬くなることが特徴です。

40〜60歳の患者さんが80%を占めています。

また、糖尿病の患者様や、肩関節の手術を行った方などにも同様の症状が現れやすいとされています。

症状が軽く、自然に治癒する場合もありますが、一部では症状が重く、運動障害が長く続く場合もあります。

腱板断裂とは

肩の使いすぎや外傷などにより、肩甲骨と腕の骨(上腕骨)をつなぐ板状の腱に断裂が起こり、肩の痛みと運動障害が現れます。

60歳以上の方に現れやすく、右肩に症状が出ることが多いとされています。

五十肩と比べて関節の動きが固くなることは稀です。

症状

肩関節周囲炎の主な症状は、以下のようになります。

肩の痛み

肩の痛みが最も一般的な症状です。痛みは、軽度な場合から激しい場合まで、症状によって異なります。通常、上腕の外側に痛みが生じます。

運動制限

肩関節の運動範囲が制限され、腕を持ち上げたり、横に動かしたりするのが困難になることがあります。また、痛みや不快感のため、睡眠時にも影響が生じることがあります。

肩のこわばり

肩関節周囲炎では、肩がこわばることがあります。こわばりは、痛みや運動制限につながることがあります。

炎症

肩関節周囲炎は、肩周囲の腱や筋肉、粘液包などの炎症によって引き起こされることがあります。
炎症がある場合、肩の周囲に腫れや赤みが生じることがあります。

しびれや痺れ

重度の肩関節周囲炎の場合、神経に圧迫が生じることがあり、手や指先にしびれや痺れが生じることがあります。

これらの症状は、個人によって異なる場合があります。

症状が出た場合は、早めに医師に相談し、診断・治療を受けることが重要です。

診断

肩関節周囲炎の診断には、以下のような方法をとります。

症状の聴取と身体所見

患者さんから痛みや違和感の程度、症状が現れる状況などを聴取し、肩関節の可動域、力の低下、痛みや腫れの有無などの身体所見を確認します。

画像検査

X線検査、MRI検査、超音波検査などを行い、肩関節周囲の状態を詳しく確認します。これにより、肩関節周囲炎の原因となる骨や筋肉、靭帯、腱の損傷や炎症の程度を評価します。

関節液検査

肩関節に炎症がある場合、関節内に異常な量の液体がたまっていることがあります。
この場合には、関節液を採取し、細菌感染や関節リウマチの可能性を調べることがあります。

機能評価

肩関節周囲炎の程度を評価するために、肩関節の可動域、力の低下、痛みの程度、日常生活への影響などを評価します。

診断にあたっては、痛みや違和感がある場所や症状の程度、日常生活への影響などを十分に把握することが重要です。

肩関節周囲炎は、他の疾患との鑑別が必要な場合がありますので、専門医による診断が望ましいです。

治療

肩関節周囲炎は、加齢により関節を構成する骨や筋肉などが変性し、肩関節の周囲の組織に炎症が起きることが原因とされています。

一般的な経過は症状により3つの期間に分けられ、それぞれに応じた治療を行います。

ほとんどの患者様は上記の治療で軽快しますが、治療は数ヶ月以上にわたるため、医師の指示に従いながら、リハビリを活用すること、自ら運動療法を長期的に継続していくことが必要となります。

リハビリテーション

肩関節周囲炎のリハビリテーションは、以下のような方法があります。

柔軟性の向上

肩関節周囲炎の場合、肩の筋肉や靭帯が硬くなり、運動範囲が制限されることがあります。柔軟性の向上を目的としたストレッチングやマッサージを行い、筋肉や靭帯を柔らかくすることが重要です。

強度トレーニング

肩周囲の筋肉を強化することで、肩関節の安定性を向上させることができます。これにより、炎症や痛みを軽減し、運動範囲を拡大することができます。強度トレーニングは、理学療法士の指導のもとで行うことが望ましいです。

電気刺激療法

電気刺激療法は、肩周囲の筋肉を刺激することで、筋肉の収縮を促し、血流を改善する効果があります。これにより、炎症や痛みを軽減することができます。

マニュアルセラピー

マニュアルセラピーは、手技療法によって筋肉や関節の状態を改善する治療法です。
肩関節周囲炎の場合、肩周囲の筋肉や靭帯を緩めるために、マッサージやストレッチングを行うことがあります。

これらのリハビリテーションは、理学療法士の指導のもとで行うことが望ましいです。

また、症状の程度に応じて、リハビリテーションの内容が異なる場合があります。